第32章 嫉妬深い彼とズルいあたし
「………。」
「………。」
「……なんでそんな機嫌悪いん?」
食事中。
彼の顔を見ながら勇人君が言った。
先程からあたし達の間に会話がない。
たった、あたしの一言で彼を怒らせてしまった。
私が悪いのかもしれないけど。
つかれた。
彼の独占欲が強いとことか、束縛激しいとことか。
もう、重い。
あたしでは、抱えきれない。
「あのさ…。」
箸を置いて彼を見た。
「もう…先輩と後輩に戻らない…あたし達。」
ポツリと呟く。
「え?」
勇人君が驚いた顔であたしを見た。
ガタッ―――
彼は無言で立ち上がると、あたしの手を掴んだ。
「え?え?」
勇人君が戸惑っている。
彼はそのまま、あたしの手を引いて二階に上がった。