第31章 孤独
二人の葬儀にも父親は来なかった。
参列したのも母方の年老いた両親だけ。
知り合いなんて誰も来なかった。
彼は、毎日泣いた。
泣きすぎて涙が出なくても泣いた。
たまに、祖父母が見に来てくれたけど、年金暮らしで貧しい彼等とは一緒に住むことは出来なかった。
ある日、気まぐれな父親が帰ってきた。
ずっとうずくまってる彼にこう言った。
"やっとグズ共がいなくなったか"
と、薄ら笑いを浮かべて。
彼は父親を睨み付けた。
「お前は、俺に似てるから生かしといてやる。」
男はそう言うと家を出ていった。
"あいつが殺したんだ。あいつが―――"
身体が無意識に台所へ向かっていた。
そこにある包丁を持ち出して玄関を飛び出した。
裸足で。