第31章 孤独
彼は女にあまり免疫がない。
いや、モテはした。
昔は。
けれど、薬をやりだしてから彼の周りから人がいなくなった。
皆が彼をさけ始めたのだ。
そのおかげか、彼は薬にますます溺れて言ったのだ。
薬を始めた理由は誰にも言わない。
ずっと、口をつぐんでいる。
その事については。
「はぁ……。」
手にシャンプーをつけ、山吹色の髪の汚れを洗い流す。
ザーと泡を流せば、身体を擦る布にボディーソープをつけた。
軽く泡立て、身体を洗い流す。
多少傷にしみたが、気にせず擦った。
そして、泡を流した。
ガタッ――――
浴室を出ると身体をタオルで拭き、下着を履いた。
そのまま部屋に行くと紫のフードつきのジャージを着た。
「………ハァハァ……。」
また、薬がきれはじめた。
最近、薬の効き目が悪くなってきている。
部屋にあるタンスの一番上の引き出しから瓶を取り出すと、近くにあった袋を取った。
中に瓶の液体を注ぐ。
その袋を鼻と口に当たるように被せた。
「ふー……ふー……ふー……。」
鼻から吸い込み口から吐く。
それを彼は何度も繰り返した。
「あふっ……あふ……。」
彼の瞳孔がまた開いた。