第31章 孤独
畳の部屋の隅のテーブルに粗末な花の入った花瓶と果物が置かれてある。
その花の間に三十代後半位の女性と幼い女の子の写真が飾られていた。
「母さん…真矢…。」
それを見ると彼は胸が苦しくなるような思いに襲われた。
まるで、グッと何かに捕まれているようだ。
彼は、とっさに写真から目を反らした。
そして、下着を持ち脱衣所に向かう。
脱衣徐に着くと汚れた服や下着を脱ぎ捨て洗濯機へ放った。
洗剤を入れ洗濯機をまわす。
それから、彼は浴室へ入った。
ザァァァアア―――
シャワーの音が耳に響く。
鍛えられた肉体にお湯がかかる。
所々アザだらけの身体。
薬のせいで痛みに気付かなかった。
彼の腕にはブルーの龍のタトゥーがある。
そこにも、アザが忍びよっていた。
あの赤い頭の奴の仕業か―――
男の顔を思い出す。
その瞬間、自分の前に立ちはだかった女の顔が浮かんだ。