第30章 恐怖
ガシッ――――
「人の女に…触れんじゃねぇぇぇええ!!」
シュッ―――――
男の身体が宙に浮いた。
ぐしゃあっ――――
「かはっ―――」
そして地面に叩きつけられる。
「ハァハァハァ…間に合った――。」
倒れた男の向こうに息を切らした誠也君がいた。
彼が男を投げ飛ばしたのだ。
その側では大川先輩が寝かされている。
「先輩!!」
千加が大川先輩に近寄った。
「誠也く―――」
「来るな!!」
彼が叫んだ。
「…こいつはまだ気絶しちゃいねぇ――。」
「……化けもん…だからな。」
気絶していた大川先輩が起き上がった。