第30章 恐怖
「ハル――!!」
路地の奥に行くと血だらけの大川先輩が倒れていた。
その頭を山吹色の髪の男が踏みつけている。
「テメェッ!!」
誠也君は走りながらドロップキックをかます。
バコンッ―――
男の頭に命中した。
男が吹っ飛ぶ。
ズササササ――――
誠也くんの革靴が地面を擦った。
「テメェか?清と翔をやったのは?」
彼は立ち上がると男を見下ろしながらゴキゴキと首を鳴らした。
「クックックッ――さぁ?殺したやつなんざ……覚えてねぇ…。」
口から出た血を舐めながら立ち上がった。
「お前誰なんだよ?どこの族の者だ?」
「族?」
「暴走族だ。」
「……俺は……平 亜久里(ひら あぐり)…族なんぞに興味はねぇ…。」
瞳孔が開ききったブルーの瞳が誠也君をとらえる。
「お前…日本人じゃねぇな――ハーフか?」
「まぁな…イギリスと日本人のハーフだ。……そんなことはどうでもいい。さっきのもう一回やれよ。」
ダラダラと涎を垂らしながら彼を見ている。
「薬中か……テメェ…気持ちわりぃゾ?」
彼は睨み付ける。
「ヒャハハハハ――殺してやる!!」
亜久里が彼目掛けて走った。