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レッテル 1

第30章 恐怖




「大川先輩は好きな人いるんですか?」

同時刻。
一本前の電車で帰った千加と大川先輩は路地を歩いていた。

「いや…俺は別に――。」

つるつるの頭を掻きながら彼女から目を反らす。
彼は女に対して免疫がない。
ましてや、産まれてこの方モテたためしがなかった。

一方の千加は先程からニコニコと大川先輩を見ていた。
あわよくば、手を繋ぎたいのだ。

「じゃああたしが――。」

「あぶねぇ!!」

「きゃっ!!」

シュッ―――

大川先輩は千加を抱き寄せた。
その瞬間、拳が降ってくる。

「どうしたんですか先輩。」

状況を理解出来ない千加は頬を赤くした。

「逃げろ!!」

しかし、大川先輩は彼女をとっさに隠した。

「クックックッ…………。」

目の前に現れた山吹色の髪をした男が髪を結びながら大川先輩を見ている。
身長は二人ともあまり変わらない。

「山吹色の髪……翔と清がやられた奴か。」

相手を睨み付ける。

「とっ通り魔!?」

千加が口を押さえた。

「クックックッ……死ねぇ!!」

バシッ―――

男の拳が飛んでくる。
大川はそれを受け止めた。
両手で。
ビリビリと手が痛む。

「はやく……逃げろ!!」

大川先輩は叫んだ。

「あ…あたし助けを!!」

千加は走った。
けれど人がいない。
千加はポケットから携帯を取り出した。
そして電話をかける。

「今、路地にいるんだけど大川先輩が通り魔に!!来て!!」



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