第30章 恐怖
「最近、通り魔がでるんだって。」
学校の帰り道駅で電車を待ってる最中、彼に言った。
「………。」
けれど、彼は黙って険しい顔をしていた。
「どうしたの?」
あたしは彼の顔を覗きこむ。
「……あ…いや、わりぃ。」
彼はようやく気づいたのか、頭を掻いた。
「なんかあった?」
「いや…あったつーか…」
「何?」
「昨日、清と翔がやられたんだよ。」
彼は煙草を取り出すとくわえた。
「え!?」
「山吹色の髪の奴で薬中らしいんだ。」
ポケットからジッポーを取り出し、手を添えて火をつける。
「瞳孔が開きっぱなしで半端なく強いらしいんだ。」
煙を吐き出す。
「いつ現れるかもわからねぇ。俺から離れるなよ。」
彼はあたしの頭を撫でた。