第29章 紫の特攻服
キュルルル―――
ヴォンヴォンヴォン―――
土曜の夜。
無数のバイクの排気音が静かな空に響く。
今宵は極使天馬の集会の日だ。
「姉御の初特攻服デビューを祝って派手に暴れるんで夜露死苦!!」
特攻隊長の嶋中さんが叫ぶ。
やめて!!
心の中であたしは叫んだ。
今、あたしは誠也君のバイクの後ろに跨がっている。
例の特攻服を着て。
寒いので中に黒い服を着こんでいるが、どうみてもこの服装は派手だ。
あたしは、恥ずかしくて彼の背中に顔を埋めた。
「テメェ等!!マッポなんぞに捕まるんじゃねーぞ!!」
三善先輩が叫んでいる。
「行くぞテメェ等!!」
誠也君の声が響く。
ヴォンヴォンヴォン――――
ゴオォォォオオ――――
彼の合図と共に百台以上のバイクが動き出した。
先頭を走るのはもちろん彼。
その少し後ろを藤崎先輩達が続いていく。
あたしは彼の身体にしがみついた。