第29章 紫の特攻服
「お前にいいもんやる。」
金曜日の夜。
ベットで雑誌を読んでいるあたしに、彼が話しかけてきた。
「何?」
今日誕生日だったっけ?
首を傾げる。
「お前も俺等の族の仲間みたいなもんだからさ……ほら。」
「へ?」
そう言って彼が後ろから出したのは紫の特攻服だ。
しかも金色の文字で"朝日 桜"と書いてある。
いらない。
この時、あたしは純粋に思った。
「お前がこれ着たらさ、ぜってぇ可愛いと思うんだよ。」
うんうんと彼は嬉しそうにそれを眺めている。
そうだろうか。
あたしは、彼の考えが理解出来ない。
「着てみろ。」
彼が押し付けてくる。
「いや…あたしは―――。」
"いいや"とは言えない。
嬉しそうな顔を見ると。