第3章 罪と罰
「あの…ありがとう。ジュースまで奢ってもらっちゃって……。」
駅のベンチに座りあたしは言った。
「いいよ。……それより何かあった?」
「えっと……。」
「彼氏と喧嘩した…とか?」
「え?」
吉田君と目があった。
「もしかして当たり?……ごめん、聞いちゃまずかったよね。」
彼はあたしから目をそらすと俯いてしまった。
「そんなことないよ。」
あたしは彼に先程の出来事を話した。
「もしかして不安なことあるんじゃない?彼氏さん。」
「ふあん?」
「うん。朝日さん彼に隠し事してたりする?」
「え……。」
吉田君の一言にあたしはドキッとした。
隠し事。
松崎君とのこと。
「それに気づいてるとか。」
彼はそこまで言うと立ち上がった。
「なーんてね。ホントのことは俺にもわからない。俺、心理学の勉強してるからちょっと言ってみただけ。」
「心理学?」
「うん。俺、将来心理学の教授になるのが夢なんだ。」
そう言うと彼は振り向いた。
「あ…。」
そして顔が近づいて来る。
手が顔に触れた。
ドキッ…――――
あたしの胸が鳴った。
「涙……たまってる。」
彼はあたしの目にたまった涙を拭った。
「じゃあ、俺電車来るから。また明日。」
「うん。」
吉田君は駅の改札口へ消えていった。