第28章 下と上
「…いないよ。皆、薬やギャンブル、窃盗や犯罪に手を染めてるんだ。だから、泥棒団地て呼ばれてるんだ。」
「……まぁ、ワシも極道やさかいまともやないけどな。」
ハハハと加藤は笑う。
「…あの――」
「ん?」
「舎弟にしてください!!」
「はぁ?」
杉本の言葉に加藤は口から煙草を落とした。
「アチッ!!」
慌てて落ちた煙草を拾う。
「俺…さっきの加藤さん…いや、兄貴の頭突き見て感動しました!!お願いします!!」
杉本が深く頭を下げる。
「そないなこと言っても…。」
困ったように頭を掻いた。
別に舎弟が欲しくない訳ではない。
ただ、相手が中学生という事が問題なのだ。
「お願いします!!」
再度頭を叫ぶ。
「…………。」