第28章 下と上
「おい、松下………さん。取り返したで。」
ドンッ―――
松下の机の上に小瓶を置いた。
結局、彼は首を縦に振った。
中学生の舎弟は割には合わないが、面倒みるくらいならいいとおもったからだ。
「ほな、ワシ帰るわ。ツレ待たしとるさかい。」
足を翻し進もうとする。
「待てや。」
黙っていた松下が口を開く。
「あ?」
加藤が振り向く。
「ワシが何も知らんとでも思っとんのか?」
「何の事や?」
「まぁ、エェ。明日も頼むわ……狛犬。」
ニヤニヤと松下が見ている。
「……クソが――。」
加藤は松下を睨み付けると事務所を出た。