第28章 下と上
「うわっ、ちっせぇ。なんだソレ?お前ホントに男かぁ?」
男達が笑っている。
杉本は恥ずかしそうに股を手で隠した。
「はーい、まずはいっぱーつ!!」
バコッ――――
山代の拳が腹に入る。
杉本は地面に倒れた。
ガシッ――
「サンドバッグが倒れんじゃねーよ。」
屈んだ山代が髪を掴んだ。
「じゃあ、次ワシに殴らせてやぁ。」
暗がりから声がした。
「誰だ!!」
山代が叫ぶ。
「ん?ワシ?岩中組若頭…やなかった、若衆の加藤 道信や。」
愛用の扇子を扇ぐ加藤がニッコリ笑って歩いてきた。
草履の足音をさせながら。