第28章 下と上
「なんや、もっとるやないかい…でも、一万たらんわ。」
諭吉を抜き取ると空になった財布を捨てた。
「はよ、一万出し。」
しゃがみ込んで男女を見る。
「…なっないです――」
「ほたらATMに――」
「むっ息子が…」
「ん?」
「息子が…払います。」
男が呟いた。
「息子?オッチャン達息子おったんかい。いくつやねん?」
「小学校四年生です……。」
バコッ――――
「ドアホッ!!小学生がどないして払ういうんや!!さっさATMいかんかい!!」
「はっはい!!」
男はパチンコ屋に備え付けてあるATMへ走った。