第26章 頂点を狙う者
「無理しちゃだめだよ。」
「いてぇ!!」
家に帰った後、目が覚めた彼女が傷の手当てをしてくれる。
今、自分の顔は痣だらけだ。
「すげぇな兄貴。」
勇人が隣で感心している。
つうか、瞼が腫れて前が見えねえ。
「たいしたことねーよ。」
と言いつつも、彼女の看護を受ける。
彼女を独り占めにしている優越感に俺は浸っている。
「なにニヤニヤしてんだ?」
勇人が不思議そうな顔で見てきた。
「してねぇ!!」
「いてぇ!!」
頭を殴る。
「あのね…誠也君。」
俺の顔に湿布を貼っている彼女が呟く。
「何?」
「助けに来てくれてありがとう。」
彼女が可愛い笑顔で笑った。
俺にとって彼女の笑顔がなによりの薬だ。