第26章 頂点を狙う者
「…はぁ…はぁ…はぁ……。」
血だらけの彼が鼻から出る血を拭う。
そして、煙草を取りだしくわえた。
ジツポーを取りだし火を着けようとするが、外からの風のせいでなかなかつかない。
「……クソッ――。」
やっとの思いでつけると、フラフラと彼女のもとへ向かった。
「ひっひいぃぃぃ!!」
部下達が部屋から転がるように出ていく。
彼はそれを気にすることなく彼女の側へ座った。
フーと煙を吐くと気絶している彼女の頭を撫でる。
加藤は強かった。
下手をすれば自分が殺られていたに違いない。
割れた窓から外を眺める。
今夜は満月だ。
彼の赤い髪が更に赤く光っている。
ウーウー
遠くでパトカーのサイレンの音がした。