第3章 罪と罰
昼休み。
トイレの帰り道、廊下で松崎君達がたむろっていた。
「邪魔なんだけど?」
麻央が不機嫌そうに言った。
「へいへい、すいませんね雌豚共。」
そう言って、松崎君はよけた。
そして携帯を扱いだした。
ブーブー
と同時になる携帯。
開くと
"体育館裏"
と書かれていた。
松崎君と目があった。
けれど彼は何事もなかったかのように友達と話だした。
だからあたしもなにもなかったフリをした。
「なんかよう?」
静かな体育館裏であたしは煙草を吸う松崎君に言った。
「別に。」
「はぁ?」
「ただ…朝、すっげぇムカついた。」
彼は煙をはいた。
誠也君のことだ。
「あいつがお前に触ってるの見たら…――。」
「え?」
「キスさせて。」
「えっ?ちょっ……―――。」
煙草をもみ消し松崎君はあたしを壁に押さえつけた。
抵抗しようとしてもまるで動かない。
そして、
彼の唇が触れた。
「…ん……。」
彼の顔が近い。
この時間が長く感じる。
「俺の方があいつより好きだから…お前のこと。だからっ――」
「…………。」
「俺だけを見ろ。」
彼はそう言うとあたしを解放した。
頬が熱くなるのを感じる。
「わかんないよっ。」
あたしは走った。
逃げるように。
角を曲がったところで赤い髪が見えた気がした。
微かに煙草の匂い。
気のせいだよね?