第26章 頂点を狙う者
「…………。」
チラ―――
チラチラチラ―――
先程から彼は時計を気にしていた。
遅い。
今日は、彼女が友達と買い物して帰ると言ったので先に帰った。
けれど、時計はもう7時をとっくに過ぎている。
親ではないけど帰って来ないことが非常に気になる。
…浮気とか。
いや、彼女に限ってそれはない。
と、言いきれるのか。
学校で彼女を好きという奴が沢山いるのも知ってるし、知らない合間にナンパされてる可能性もある。
断りきらない彼女だ。
非常に心配だ。
ブーブー
そんな時、電話がかかってきた。
彼女だ。
急いで電話にでる。
「バカ!!何やってんだよ桜!!」
出た瞬間に怒鳴る。
『………あー、うるさいのぉ。ワシ、桜とちゃうで?』
出た相手は彼女じゃなかった。
低い関西弁の男の声だ。