第26章 頂点を狙う者
「ようやっと来たで、ワシへのチャンスが!!」
岩中宅への帰り道。
扇子を扇ぎながら彼は陽気に歩いていた。
人がそこを避けている。
傷たらけの顔が恐ろしくて仕方ないのだ。
「おい、姉ちゃん。ワシとエエとこ行くか?」
スタイルの良い大人の女性に声をかける。
「い…いいえ。」
女は逃げるように歩いていった。
「なんや…つれんなぁ。身体をだけかい。」
金髪の頭を掻く。
しばらく歩いていると高校生らしき女が目に入った。
高校だが、結構可愛い。
「おい、姉ちゃん。ワシとどっかいこや、奢ってやるさかい。」
「…いえ、結構です。あたし、早く帰らないと誠也君待ってるんで――」
「ちょい待ち。」
女は逃げようとしていたが、手を強く掴んだ。
「誠也?誠也ゆうたら、秋本か。」
女に顔を近付ける。
「え?あ…はい。」
顔の目の前なので女は恐がっていた。