第26章 頂点を狙う者
「道具の手入れは怠るな。いつ出入りがあるか分からん。」
「それはどういう――」
「最近、西條会と豪龍会の中がかんばしくない。いつ、奴等がシマに乗り込んでくるか分からん。」
宗次郎はそう言うと刀を床の間の刀置きに置いた。
「仲間割れしてる場合じゃない。……暴走族の件もな。」
ゴクリ――
再び加藤は息を飲んだ。
「親父もそれでピリピリしている。柏木組の組長もその事で出ている。」
「はい…。」
「俺も親父もいずれは出ないといけない。その時は頼むぞ加藤。」
「わかりました、おまかせください。」
加藤は畳に手をついて頭を下げた。