第24章 男の中の男
「…なにしてんだ、お前。」
手を必死に押さえているあたしを、再び彼は不思議そうに見た。
「……なんでもないもん。」
また、頬を膨らまして顔を反らした。
「………。」
彼はあたしをジッと見ていた。
「………何?」
あたしは彼を見た。
「……お前…虫歯あんぞ。」
「え!?うそっ!?」
「見てやるから口開けてみろ。」
「あー、はひゃくひて。」
「………嘘。」
彼はそう言ってあたしの口にスプーンでチャーハンを入れた。
モグ…
モグモグモグ…
「…うまいか?」
「………べつに。」
あたしは彼から顔を反らした。
ウソ。本当はすごく美味しい。
「そっか。」
彼は笑いながらあたしを見ている。
「………。」
カチャ―――
結局、あたしはチャーハンの誘惑には勝てなかった。