第24章 男の中の男
PM:7:05
「オイ、兄貴。俺、弱い奴いじめてた六年倒したぞ。」
外から帰ってきた勇人君が鼻を掻きながら言った。
全身泥だらけで顔も腫れている。
「よくやった!!それでこそ男だろ。」
胡座をかいて座っている彼が、豪快に勇人君の頭を撫でた。
「よくやったじゃないよ!!こんなに怪我して、喧嘩しちゃダメだよ。」
あたしは、救急箱を持って勇人君に近付く。
「なんで?」
勇人君が不思議そうにあたしを見た。
「危ないから。」
消毒液を取り出す。
「ガキの頃は喧嘩した方がいいんだよ。強い奴にも立ち向かってく勇気が必要なんだ。」
「だけど―――」
「お前はちょっと心配し過ぎなんだよ。」
彼はポンポンとあたしの頭を撫でた。
そうだろうか。
でも、大事な家族である勇人君にあまり怪我してほしくないというのは、心配しすぎなんだろうか。
「姉御!!」
「何?」
「俺が守ってやるよ。」
勇人君が照れくさそうに頭を掻いた。
なんだか、大好きな彼が重なる。
「それは、俺のセリフだっ!!」
「いてぇ!!」
彼が勇人の頭を殴った。