第24章 男の中の男
「………。」
目の前に置かれているのはホカホカの出来立てチャーハン。
その向こう側で彼が美味しそうに食べている。
ゴクリ―――
喉を鳴らす。
死ぬほど食べたい。
食べたいけれども、これを食せば先程の外道な行いを許すことになってしまう。
女としては、それは許せない。
だから、桜。
堪えるんだ!!
「…お前、食わねぇの?」
先程からチャーハンを睨んでいるあたしを不思議そうに彼は見た。
「……食べるもん。」
彼から顔を反らして頬を膨らます。
まるで子供だ。
「ふーん。」
彼はそう言って、スプーンでチャーハンをすくう。
そして、口へ運ぶ。
「………。」
あたしはジッとそれを見ていた。
ヤバい。
すごく食べたい。
あぁ、勝手に手が…。
いや、ダメ。
でも、手が。