第24章 男の中の男
「じゃあ、俺等行ってくるわ。」
勇人君と拓真君が走って行った。
勇人君は特攻服姿だ。
元気になったことは良いことだけど、少々元気になりすぎている気がする。
「勇人も男になったな。」
隣で嬉しそうに腕を組んでいる彼が言った。
いや、マジで言ってんですか?
彼の顔を見る。
男というものはわからない。
未知の世界だ。
「さて、邪魔者もいなくなったし……。」
彼がチラリとあたしを見た。
嫌な予感がする。
「運動会するか?」
「へ?」
「だから…運動会――。」
彼のズボンが膨らんでいく。
「あたし、夕飯の支度が…。」
「そんなん俺がするから…。」
後ろから抱きつかれて耳元で囁かれた。
「お風呂掃除が…。」
「それも俺がするから…。」
「宿題が…。」
「あー!!もうじれってぇ!!」
「きゃっ!!」
彼はそう叫ぶとあたしを軽々と担ぎ上げた。
そして、階段を登っていく。
結局、運動会をするはめになった。