第21章 儚い想い
「もぅ…手遅れだったんだ…二人共―――。」
特攻服姿の藤崎先輩が悔しそうに呟いた。
沢山の花が飾られた段の前に木の棺桶が置かれている。
上の方には二人の遺影が。
どうしてこうなった。
彼等は僅かに生きていたはず。
それまでの記憶がない。
「君のせいじゃない…しょうがなかったんだ。」
誰かがあたしの肩に触れた。
顔が暗くてよく見えない。
「あたしは―――」
彼等の死に目に会えなかったってこと?
絶望が押し寄せてくる。
ドサッ―――
床に膝を着いた。
どうしてあたしはいつもこうなの?
なんで肝心な時にいないの?
一筋の涙が目からこぼれ落ちる。
ポタッ―――
けれど落ちたのは涙じゃない。
血だ。