第21章 儚い想い
「……っ……っ……。」
ICUの前にある長椅子に座ってあたしは泣いていた。
ずっと。
となりで、藤崎先輩が背中を優しくさすってくれる。
「でも…どうやってここまでこれたんだ?」
三善先輩がポツリと呟いた。
「今聞くことじゃねーだろ。」
西村先輩が横目で三善先輩を見た。
「いや…気になって。」
ガシガシと頭を掻く。
「……そ…宗次郎…さ……さんが……つれてきてくれました。」
あたしは流れてくる涙を拭いながら応えた。
「宗次郎って…若頭か?」
「あぁ、そういやそんな名前だったな。」
大川先輩の言葉に竹井先輩が頷く。
「意外といい人なんかな。」
三善先輩が煙草を取り出した。
「おい、ここ禁煙。」
「あ、わりぃ。」
西村先輩に言われて三善先輩は煙草をしまった。