第21章 儚い想い
ICU中のベットの上で酸素マスクを着けて彼は横たわっていた。
ピクリとも動かずかろうじで息をしているような状態だ。
「三発も撃たれたんだ…。」
隣に立った藤崎先輩が呟く。
「あとね、勇人も撃たれた。」
「え?」
あたしは目を見開いた。
「お腹に一発…ね。でも、当り所がよかったらしく命に別状はないそうだけど――」
先輩はそこまで言うと言葉を詰まらせた。
「勇人君は…どうなったんですか!?」
あたしは先輩を揺さぶった。
誠也君だけじゃなく勇人君まで打たれるなんて。
悔しくて涙か込み上げてくる。
「目を覚まさないんだよ、もしかしたらこのまま二人とも…
目を覚まさないかもしれない。」
「……そんなっ――」
涙が線を切ったように溢れ出してくる
大事な人を二人も失うなんて嫌だ…
大好きなのに…
もっと話して、もっと遊びたいのに
これからいっぱい思い出作るはずだったのに
拭っても拭っても涙が溢れてくる
こんなの嫌だよ…