第21章 儚い想い
あたしは院内を走った。
高いヒールだったので何度も転びそうになる。
「あの、ICUってどこですか?」
近くにいた看護師さんに尋ねる。
「ここをまっすぐ行って突き当たりを左です。」
「わかりました、ありがとうございます。」
あたしは軽く会釈すると再び走った。
「藤崎先輩!!」
ICUが見えてくると、特攻服を着た藤崎先輩達が見えた。
あたしが声を出すと、驚いたように皆が此方を見た。
「…せ…誠也君は!?」
彼等の前に来ると、あたしは息を切らしながら言った。
「まだ…起きてない。」
悔しそうに先輩達がICUの中を見ている。
あたしもそちらへ目を向けた。