第21章 儚い想い
誠也君だ。
誠也君が撃たれたんだ。
こんなことしてる場合じゃない。
「あの…あたし――。」
「どうした?」
「病院に……。」
キュッ―――
あたしがいいかけていると、車が急に止まった。
「なぜ、ヤクザが恐がられてるかしってる?」
「…え?」
「君のことは昔からしってた。君のお父さん…いや、道清さんのこともよく知ってるよ。昔お世話になったからね。」
彼はポケットから煙草を取り出しくわえた。
「俺等は、ほしいものは何がなんでも手にいれる。どんな手段をつかっても……それが極道だ。」
「どういう…―――」
「行かせないってことだよ。」
彼の唇があたしの唇に触れた。
大好きな彼といっしょの匂いがした。