第21章 儚い想い
「どこか行きたい所ある?」
車を道脇に停めて宗次郎さんが言った。
「え?あたしは―――」
ピピピ――ピピピ―――
あたしが口を開くと、携帯の音が聞こえてきた。
「あぁ、すまない。」
彼はそう言うと懐から携帯を取り出した。
「俺だ。」
低い声で電話に出る。
「あぁ…そうか。…あぁ、分かった。」
そこまで言うと彼は電話を切った。
「どうか…したんですか?」
あたしは彼に尋ねる。
「いや…加藤から電話があってね、岩中興業の連中が暴走族にやられたらしい。」
「え…。」
あたしは目を見開いた。
嫌な予感がする。
「なんでも、相手も銃弾を受けて重傷らしいが…まぁ、加藤達がなんとかするだろう。」
彼はギアをドライブに入れサイドブレーキを下ろした。
そして、車を走らせる。