第3章 罪と罰
「なんで電話無視した?」
廊下で唸るように誠也君が言った。
「無視…してないよ。」
バンッ
誠也君は壁を力強く叩いた。
あたしの後ろは壁。
彼が迫ってくる。
「メールも何度も送った。なのに…お前は…ーーーー。」
彼はうつむいた。
それでも分かる。
彼が怒っているということ。
こんなこと始めてだ。
「……あの晩何してた?」
「あの晩?」
「電話した日。」
きっとあたしが松崎君とキスした日だ。
ドキドキと胸が鳴り出す。
「……べつに……何も。」
あたしは彼から目を背けた。
すると、教室の入口で立っている松崎君と目があった。
そして、声を出さずに松崎君の口は動いた。
"好きだ"
と。
頬が赤くなりそうになる。
あたしは俯いてそれを隠した。
それに気づいたのか、誠也君はあたしが見ていた方を見た。