第20章 犠牲
「ひっひぃぃぃ!!」
部下が怯えている。
ドンッ――――
ドンッドンッ―――
何度も何度も音がする。
松下は恐る恐るそちらへ目を向けた。
「ひっひいぃぃぃ!!」
松下が悲鳴を上げた。
そこには血だらけの誠也君が窓を素手で殴っていたのだ。
窓に血痕が沢山付いている。
「はっ早く鍵っ!!」
「はっはい!!」
松下は鍵を受け取った。
ガシャンッ―――
でも遅かった。
彼の腕が、窓を突き破ったのだ。
血だらけの手が松下の髪をを掴む。
「逃げんじゃねぇっ!!」
そのまま思いっきり引っ張った。
松下の上半身が車から引きずりだされる。
「死ねぇっ!!」
ダンッダンッダンッダンッ―――
「グヘェッ―――」
何度も車に叩きつけられる。
そこには血がべっとりついていた。
「お前は死ぬんだ。……悔やみながら死ぬんだ、わかったんかよォ…松下ァ……。」
瞳孔が開ききった目が松下に突き刺さる。
「すいません……すいません……すいません………」
ジョジョジョジョジョ――――
松下はお経のように唱えながら放尿した。
奇抜なスーツのズボンが濡れていく。