第20章 犠牲
「殺してやる…ぶっ殺してやる…。」
お経のように彼は唱えている。
ガシッ―――
誠也君は松下の首を掴んだ。
「はっ離さんかィ、ワレェ!!」
バキィッ―――
松下は誠也君の左頬を殴った。
誠也君の顔が右を向く。
口から一筋の血が出る。
「殺してやる…殺してやる…。」
グシャッ――――
「ふぐァッ――――」
けれど彼はゆっくりと正面を向くと、松下の顔面に頭突きした。
松下の鼻から血が吹き出る。
「殺してやる……殺してやる…。」
バコッ―――
「ぐふッ―――」
バコッ――――
「ぐはッ―――」
バコッ――――
「かはッ―――」
何度も何度も松下の腹を殴る。
松下の口から出た血が、彼の顔に吹きかかる。