第20章 犠牲
「勇人!!なんでお前がここに!?」
誠也君が驚いた目で見た。
「どうしても来てぇていうから―――」
西村先輩が呟く。
「なんでこんな所に、なんでこんな格好してるの!?」
勇人君がトランクに近付いた。
トランクの中の男女は勇人君の両親だった。
「ほら、形勢逆転。どーする、秋本?」
「は…はなせ!!」
松下は勇人君を捕まえると、ニタニタと笑いながら誠也君を見た。
「きたねぇぞ!!松下ァ!!」
三善先輩が叫ぶ。
「汚い?ワシャ、汚かろうがなんだろうが関係ねぇんだよ。お前を殺せば全て肩がつくんだ、俺の計画のなぁ。」
そう言って懐から拳銃を取り出した。
「………っ……。」
誠也君が悔しそうに舌打ちした。
「終わりだ。」
銃口が彼に向けられた。
「じゃあな、秋本。」
パンッ―――
拳銃の音が鳴り響いた。