第20章 犠牲
「どうした!?拓!!」
三階から声をかける。
「松下の野郎、岩中組の――」
ガチャ――
「皆お揃いでなにかご用かな?」
彼等の前に黒光りする車が止まったかと思うと松下が出てきた。
「松下ァ!!」
彼が三階から叫ぶ。
「おやおや、派手に暴れてくれたね。これだから、暴走族は三下なんだよ。」
やれやれと言った風に松下は溜め息を吐いた。
「テメェ、今すぐそっちに行ってやらぁ!!」
誠也君はそう言うと窓から姿を消した。
そして事務所の入り口からゆっくりと出てきた。
「テメェだけはゆるさねぇ…。」
瞳孔の開いためが松下をとらえる。
「クックックッ…ハッハッハッ!!許さない?ワシャ、別に許してもらいとうないわ、今から死ぬ人間に―――おい。」
「はい。」
車のトランクがゆっくり開く。
「―――!!」
中から声に鳴らない叫び声が聞こえてくる。
トランクの中身は人だった。
それも、男女。
「…お父さん!!お母さん!!」
極使天馬の兵隊達の中にいた勇人君が叫んだ。