第20章 犠牲
「松下ぁ…出てこいやァっ!!」
三階へ着いた頃には階段にはいくつもの屍が転がっていた。
それでも、彼は歩みを止めない。
今の彼に良心などひとつもない。
ガシャン―――
パリン―――
彼は進むたびに何かを破壊していく。
三回にはもう二人しか残っていない為、止める事が出来ない。
「落ち着け…な、落ち着いてくれ――」
自分は痛みから逃れようと彼をなだめる男が、摺り足で逃げようとしている。
「松下を出せって言ってんのが聞こえねーのか!?ぁあ!?テメー等の耳は飾りか!?ちゃんと聞いてんのかって言ってんだっ!!」
ガシャン―――
誰が止めようとも、彼は破壊していく。
「松下さんは―――」
「誠也!!」
そんな時外から叫び声が聞こえた。
藤崎先輩だ。
窓の外に目を向けると沢山のバイクが止まっている。
皆、極使天馬の連中だ。