第20章 犠牲
「カチコミじゃァ!!はよ、ドス持ってこんかい!!」
男達が三階の事務所で騒いでいる。
「テメェ等雑魚には用はねぇ…んだよっ!!」
グシャッ―――
「あがっ――」
誠也君らは階段で男に頭突きをかました。
鼻から血を吹き出しながら男が倒れていく。
階段には何人かの男が倒れていた。
全員、血を出して。
「松下…出てこい…。」
彼は先程からお経のように唱えている。
そして、ゆっくりと階段をあがっていく。
ひとつひとつの足音が死の音色の様だ。
「ガキが調子のってからに!!」
男が木刀を降り下ろす。
バキッ―――
彼の頭に命中した。
ポタ…
ポタ…
頭部から血が顔に線を描くように滴り落ちる。
「岩中興業ナメてるからこうな…―――」
バコッ―――
「うがっ…が―――」
思いっきり彼の拳が男の腹に入る。
「松下出てこいっつってんのかわかんねぇのか!?あ!?」
瞳孔の開ききった目で彼は三階を見つめていた。