第19章 初会
どこか、彼は誠也君に似ている。
否、誠也君が彼に似ていると言った方がいいだろうか。
顔じゃなくて、雰囲気が。
なんだか、誠也君が目の前にいるようだ。
「……十五歳なんだってな、若いな。」
再び彼が口を開く。
「岩中さんは…」
「宗次郎でいい。」
「……宗次郎さんは、何歳なんですか?」
くだらない質問だ。
だけど無言よりはマシだ。
「…二十八だ。」
「そうなんですか。」
「………。」
「………。」
また、会話がなくなる。
誠也君今頃なにしてるだろうか。
松下の言葉も気になる。
"今日死ぬから"
どういう意味?
今日殺されるって事?
こんなとこでこんなことにしてる場合じゃない。
早く抜け出さないと。
「どうした?」
モジモジしていると宗次郎さんが言った。
そんな時でも、彼は顔色ひとつかえない。
無表情だ。
「いっいいえ、何も……。」
彼から目を反らす。
「………。」
彼は急に立ち上がった。
何かされると思って目を瞑る。
けれど待てども何も来ない。
恐る恐る目を開けてみた。
「こんな所じゃ退屈だろう、おいで。」
彼は手を差し伸べていた。
「はっはい。」
あたしは彼の手を受け取った。