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レッテル 1

第19章 初会




本当に大きい屋敷だ。
部屋も数えきれないほどある。
庭も美しい日本庭園そのものだ。

「じゃあ、中に入って。」

襖を開けながら松下が言った。

「…はい。」

言われた通り中に入る。
そこには、テーブルの前に座った黒髪のオールバックで威圧的な風貌の男の人がいた。
でも顔は整っている。
恐いけど。
黙ってジッと正座している。

あたしは、彼の向かいに正座で座った。

「では、あとはお二人でどうぞ。」

松下はそう言うと襖を閉めた。

「………。」

「………。」

会話がない。
それよりも先程から彼は目を閉じたままだ。

「………。」

「……名前は?」

黙っていた彼の口が開いた。
低く唸るように。

「……朝日 桜です。」

あたしは恐る恐る応える。

「そうか。俺は岩中 宗次郎だ。」

そう言って彼は目を開けた。
綺麗なダークブラウンの目をしているが、どこか寂しさを感じる。
ずっと見ていたら吸い込まれそうになりそうで、あたしは目を反らした。



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