• テキストサイズ

レッテル 1

第18章 絶望から希望へ




「おぅ、何しとんや、山下?」

前から若い声がした。
ふと、前に目を向けると筋者の人達がぞろぞろとやって来た。

「あ?」

「あ…あに…き。」

誠也君もそちらを見た。

「そいつぁ、うちの組の者や。ワレ、何してくれとんや。」

見た目は若そうだか、顔が傷だらけの金髪で短髪の真ん中に立っている男が言った。

「誰だテメェ。」

誠也君がその男を睨み付けた。

「ワシか?岩中組若頭補佐の加藤 道信(かとう みちのぶ)や。」

パタパタと時期外れの扇子を扇ぎながら加藤は言った。

「コイツの上司か。」

「まぁ、そんなとこや。ワレ、名前名乗らんかい。ワシャ、名乗ったんやで?ジブンも名乗るんがスジっちゅうもんやろ。」

加藤は扇子を閉じて誠也君に向けた。

「秋本 誠也。」

「ほぅ…秋本っ言うたら、あれか。"極使天馬"の総長の秋本か?」

「あぁ。」

「そら、山下も勝てへんわな。」

ハッハッハッと加藤は笑い出した。

「テメェ…やんのか?」

誠也君は加藤を睨み付けた。

「…いや、今から西條会の集まりがあるからに、服汚されんのやわ。やけん、やめとくわ。」

そう言って再び扇子を開く。

「おぅ、山下。はよ立たんかい、ワレ。おじきに恥かかすんかぃ、おどれは?」

ドコッ―――

加藤は山下を蹴飛ばした。

「すっすびませ…ん。」

血だらけの山下はヨロヨロと立ち上がった。

「ほな、失礼しますわ秋本はん。」

そう言って、加藤は仲間を連れて歩きだした。



/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp