第18章 絶望から希望へ
「おぅ、何しとんや、山下?」
前から若い声がした。
ふと、前に目を向けると筋者の人達がぞろぞろとやって来た。
「あ?」
「あ…あに…き。」
誠也君もそちらを見た。
「そいつぁ、うちの組の者や。ワレ、何してくれとんや。」
見た目は若そうだか、顔が傷だらけの金髪で短髪の真ん中に立っている男が言った。
「誰だテメェ。」
誠也君がその男を睨み付けた。
「ワシか?岩中組若頭補佐の加藤 道信(かとう みちのぶ)や。」
パタパタと時期外れの扇子を扇ぎながら加藤は言った。
「コイツの上司か。」
「まぁ、そんなとこや。ワレ、名前名乗らんかい。ワシャ、名乗ったんやで?ジブンも名乗るんがスジっちゅうもんやろ。」
加藤は扇子を閉じて誠也君に向けた。
「秋本 誠也。」
「ほぅ…秋本っ言うたら、あれか。"極使天馬"の総長の秋本か?」
「あぁ。」
「そら、山下も勝てへんわな。」
ハッハッハッと加藤は笑い出した。
「テメェ…やんのか?」
誠也君は加藤を睨み付けた。
「…いや、今から西條会の集まりがあるからに、服汚されんのやわ。やけん、やめとくわ。」
そう言って再び扇子を開く。
「おぅ、山下。はよ立たんかい、ワレ。おじきに恥かかすんかぃ、おどれは?」
ドコッ―――
加藤は山下を蹴飛ばした。
「すっすびませ…ん。」
血だらけの山下はヨロヨロと立ち上がった。
「ほな、失礼しますわ秋本はん。」
そう言って、加藤は仲間を連れて歩きだした。