第18章 絶望から希望へ
「僕…今のままがいい。もう、お父さんとお母さんなんていなくてもいい。」
前を歩く勇人君が呟いた。
手には先程かったソフトクリームを持っている。
「なんで?」
「だって…。」
あたしの問いに勇人君は口を閉じた。
誠也君はあたしの隣で黙って煙草を吸っている。
「パパとママと暮らしたくないの?」
もう一度聞いてみた。
「暮らしたいよ…でも…」
「でも?」
「恐いんだ。また、暴力ふるわれるんじゃないかって……でもさ、今幸せなんだ。誠也兄ちゃんと桜姉ちゃんがいるから。」
勇人君は振り向いて無邪気に笑った。
「そっか。」
つられて笑顔になる。
でも、これで本当にいいのだろうか。
本当に今のままで勇人君のためになるの?
あたしは自分に問う。