第18章 絶望から希望へ
パチンコ屋の前を通ると騒音が聞こえてきた。
よくこんな所に人が居れるなと思う。
店の扉が開くたびに耳がいたくなる。
絶対こんな所に入りたくない。
「………あ…。」
急に勇人君が足を止めた。
ジッと一点を見ている。
「どうしたの?」
勇人君に尋ねる。
「………お父さん、お母さん。」
彼はポツリと呟いた。
「アイツ等か。」
誠也君も一点をジッと見つめている。
あたしもそこを見た。
そこには、身なりが綺麗とは言えない初老っぽい白髪混じりの男と茶髪で延びきった服を着た三十代半ばに見える女の人がいた。
二人とも何枚かの札を片手にパチンコ屋へ入ろうとしている。
「あたし、よびとめて―――」
「やめとけ。」
彼等の所へ行こうとしたら彼に止められた。
「なんで!?」
勇人君、やっとパパとママに会えるのに
あたしは彼を見た
「今お前が行ったところでなんになる?見ただろ、身なりも気にしねぇで万札片手にパチンコ屋に入ってやがる。あれは、かなりヤバイギャンブル依存性だ。勇人を見たって気付かねぇよ。俺等の話なんか聞くわけねぇ。」
彼はそう言うとズボンから煙草を取りだしくわえた。
「じゃあ、どうすればいいの!?このままじゃ、勇人君可哀想だよ!!」
あたしは叫んだ。
「……奴等が本当の地獄を味わったら気づくだろうよ。」
彼はジッポーで煙草に火を着けた。
「それまで待てっていうの!?」
「………。」
「ねぇ!!」
「…それまで、俺が勇人の面倒みてやるよ。気にすんな。」
彼は勇人の頭をかきみだした。