第18章 絶望から希望へ
「あのね、小川さんは結婚してるんだよ。」
「…………だから?」
「だから……。」
町を歩いている最中も、彼は機嫌が悪い。
原因が分かっていても、解決策がない。
何を言っても彼には言い訳しか聞こえない。
嫉妬がここまでくると重症だ。
あたしは仕方なく彼の後ろを歩いた。
カツカツカツ―――
ヒールの音がうるさく感じる。
カット仕立ての髪も、バックも、ロングの黒い花柄のワンピースも上着も全部重く感じる。
先程から、勇人君があたしと誠也君を交互に見ている。
お姉さんちょーピンチなんだよ。
目で勇人君に訴える。
すると、勇人君があたしのところまで来てあたしの手を引いた。
「どっどうしたの?」
身長差があるため中腰になってしまう。
「仲良くしないとダメだよ。」
勇人君はそう言ってあたしの手と誠也君の手を繋げた。
そして、少し前を歩く。
「………。」
「………。」
あたしは彼の顔を見上げた。
彼もあたしの顔を見た。
彼が頭を掻いた。
照れ臭いんだ、きっと。
そう想いながら笑った。