• テキストサイズ

レッテル 1

第18章 絶望から希望へ




「あのね、小川さんは結婚してるんだよ。」

「…………だから?」

「だから……。」

町を歩いている最中も、彼は機嫌が悪い。
原因が分かっていても、解決策がない。
何を言っても彼には言い訳しか聞こえない。
嫉妬がここまでくると重症だ。
あたしは仕方なく彼の後ろを歩いた。

カツカツカツ―――

ヒールの音がうるさく感じる。
カット仕立ての髪も、バックも、ロングの黒い花柄のワンピースも上着も全部重く感じる。
先程から、勇人君があたしと誠也君を交互に見ている。

お姉さんちょーピンチなんだよ。

目で勇人君に訴える。
すると、勇人君があたしのところまで来てあたしの手を引いた。

「どっどうしたの?」

身長差があるため中腰になってしまう。

「仲良くしないとダメだよ。」

勇人君はそう言ってあたしの手と誠也君の手を繋げた。
そして、少し前を歩く。

「………。」

「………。」

あたしは彼の顔を見上げた。
彼もあたしの顔を見た。
彼が頭を掻いた。
照れ臭いんだ、きっと。
そう想いながら笑った。


/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp