第2章 転落
再び画面を眺めた。
けれど鳴らない彼からの電話。
少し寂しくなった。
「待ってんのか…電話?」
「うん。」
「会いてぇの?」
「うん。」
「俺がいても?」
「う………え?」
彼の言葉に驚いてあたしは彼の方へ顔を上げた。
すると彼の顔は間近にあり、彼の唇がそっとあたしの唇に触れた。
何がなんだかわからなかった。
頭が真っ白で、思考が回らない。
「やめちまえよ、そんな男。」
唇を放すと彼は口を開いた。
「やめて俺のモノになれ。」
「……え?」
「俺は…お前が好きだ。」
そう言って彼は再びキスをした。
さっきよりも長いキス。
拒もうにも腕を捕まれて身動き取れない。
携帯を持った手が、携帯が落ちそうになる。
ブーブー
そんな時携帯が震えだした。
"誠也君"
ディスプレイにそう表示されている。
それに気づいた彼は唇をはなしあたしの携帯を取り上げた。
「やめて!!」
あたしは叫んだが松崎君は電源を切った。
「俺の前だけでも俺の女になれ。」
そう言って彼はあたしを抱き締めた。