第2章 転落
「電話してた。」
「彼氏?」
「うん。」
「そうかよ。」
彼はおもしろく無さそうに頭を掻くとあたしの隣に座った。
「あんたは何してたの?」
「外で煙草吸ってた。」
「ふーん。」
と応えると、あたしは乾かしたばかりの髪を触った。
茶色の髪を指で弄ぶ。
彼はそれを見ながら大きなあくびをした。
「しっかし、お前良くこんなとこ一人でおれるな。」
周りを見渡しながら言った。
「あんたもね。」
「うるせー。」
彼は再び頭を掻いた。
あたしはそれを見てハハッと笑うと再び携帯を取り出した。
ディスプレイを見るがまだ電波が低い。
「貸して。」
「あ。」
ずっと携帯を眺めていると松崎君に携帯を取られた。
そして彼自信も携帯を取り出したあたしの携帯に近付けた。
「しかたねーから、俺の番号を教えといてやる。」
彼はニヤッと笑うと携帯を返してきた。
画面には
"松崎 竜樹登録完了"
の文字が。
「は?いらなーい。」
「うるせー。
「いたっ。」
冗談混じりにデコピンされた。