第18章 絶望から希望へ
「勇人君。お姉さん美容室行くけど、一緒に行かない?髪の毛伸びてるし切ったらスッキリするよ。」
週末の朝。
誠也君とテレビを見ていた勇人君に声をかけた。
「でも…僕、お金持ってないよ。」
苦しそうに勇人君は俯いた。
「そんなの、お姉さんが出すから大丈夫だよ。行こう?」
「…うん。」
あたしが笑顔で言うと勇人君は頷いた。
「誠也君はどうする?」
そして、彼の方を見る。
「……ついていく。岩中興業の野郎がいつ勇人の所に来るかわかんねーからな。」
彼は頭を掻きながら言った。
「わかった。」
あたしはそう返事すると、鏡と化粧ポーチを出して化粧を始めた。
「………。」
「………。」
「………何?」
化粧をしていると、二人がジッと見つめてきた。
「いや…お前化粧してもかわんねーなと思って。」
「うん、僕も。」
「え?」
それはどういう意味だろうか。
あたしは首を傾げた。