第18章 絶望から希望へ
「あれ?親御さんの方…にしては若いな。」
今朝の時の事だ。
初めて勇人君を学校につれていくと、担任の先生らしき人に会った。
二十代後半っぽい人で見た目は優しそうだ。
「いや、色々ありまして――。」
あたしは曖昧に応える。
「いや、事情は分かってます。児童相談所にも相談してますし。」
彼は淡々と応えた。
「え?」
「いや、毎日同じ服着てるし家に行っても居ないし…仕方ないんですよ。」
彼は辛そうな顔をしている。
「そう言って、テメーら先公は逃げようとしてんじゃねぇのか?」
黙って聞いていた誠也君が口を開く。
「え…。」
先生は戸惑っている。
「コイツの話聞いたんか?ただ、イジメが世間に出たら問題になるから追い出そうとしてんじゃねーのかよ。」
「……。」
「先公なら、こいつの話聞いてやれよ。家に親がいねーなら探してでも話しろよ。それが、先公じゃねーのか?あ?」
威圧的に彼は先生を見た。
先生は彼の言葉に黙って聞いている。
「不良ごときが…いちいち口だすな。伊中君来なさい。」
そして、そう言い残すと勇人君を連れて中へ入っていった。
あれが本当に先生なのだろうか。
見た目と違いすぎる。
「いくぞ。」
「うん。」
彼はそう言うと歩きだした。