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レッテル 1

第18章 絶望から希望へ




「………っ……っ………―――。」

「僕…もうきつ――」

「あぁん?まだ…1セットしか……終わって…ねーじゃねぇか。後……3セットだ。」

「えー!!…無理だよ。」

「やっても…ねー…のに…無理とか言うんじゃねぇ!!」

静かな部屋で誠也君は叫んだ。
腕立て伏せをしながら。
先程から上半身裸で筋トレを勇人君とやっている。
あたしはベットの上でそれを眺めていた。
暇潰しに数えていたが結構している。
なのに彼の呼吸は乱れていない。
顔から滴る汗が何だか男らしく見える。

こうやって、彼は強くなっていくんだろうか。

結局、合計4セットした。
勇人君はきつそうに項垂れている。

「なさけねーな。まだ、後3セットぐらいするか?」

一方の誠也君は汗をかいてるがケロリとしている。

「もういいよー。ねぇねぇ、筋肉見せて!!」

「あ?」

「腕の!!」

勇人君は彼の肩に手を置きながら興味津々に言った。
そういえば、今朝のあの出来事から勇人君はよく喋るようになった。
それがなんだかあたしは嬉しかった。

「……たく、しかたねーな。」

と言いつつ、満更でもない様子で彼は腕を曲げて力を入れた。
すると、彼の腕に山が出来たかのように筋肉が盛り上がる。

「うわぁ…すごい!!どうやったらそうなるの?」

勇人君は興奮している。

「毎日鍛えりゃあなる。」

彼は不器用に応えた。

「勇人。」

そして、勇人君の名前を呼んだ。
初めて。



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