第17章 危険な企み
「勇人君!!」
あたしは急いで革靴を履いて追いかけた。
家をちょっと出た所で、勇人君は泣いていた。
「勇人君…。」
あたしは勇人君の前に屈むと彼を抱き締めた。
「…あんな奴等大嫌い…アイツ等のせいで…僕…―――。」
勇人君は声を出して泣いた。
今までどれだけ我慢していたのだろうか。
親の帰ってこないごみだらけの部屋で、一人でご飯食べて、一人で寝て―――
学校でもいじめられて、家に借金取りが来て。
こんな小さな子供が抱えてきたものはあたしには想像出来ない。
あたしは幸せ過ぎるんだ。
恵まれ過ぎるんだ…きっと――――
「……おい、ガキ。」
家の鍵を閉めた彼があたし達を上から見下ろしている。
「男なら泣くんじゃねぇ。」
彼は煙草の煙を吐いた。
「なんで、そんなこと言うの!?」
あたしは彼を見た。
この子はいっぱい我慢してきたのに。
「泣いて同情してもらいたいんか?泣いたら誰かが助けてくれると思ってんのか?男なら、自分で変えてみろ。親父やお袋殴ってでも目覚まさせろ。」
彼はそう言うと煙草を捨てて足でもみ消した。
「オメェみてぇな奴は世の中に何万といる。…でもな、皆自分の力で変えようとしてんだよ。だから、泣いて甘えんじゃねぇっ!!悔しいなら強くなれ!!」
鋭い目付きで誠也君は勇人君を見た。